「炭」を生活必需品にし、
人も山も健康な世界に!

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山梨県

森林をはじめとする環境問題と真摯に向き合い、独自の環境循環型事業を行う「キコリの炭」ブランドを立ち上げた山梨県都留市にある株式会社炭義.の取締役・水越大輔氏に話を伺った。

PROTAGONIST

水越大輔取締役

山との出会いは突然に

「そもそも、この環境事業を始めたきっかけは、富士山近くに所在する建設会社社長と代表取締役を務める僕の父が、山梨県にある企業同士という縁から人づてに知り合うことで、建設会社社長から事業を引き継いだことでした。その建設会社はトンネルを掘ったり、山道を開いたり、林道を作るなど地元の大きな企業で、後継ぎがいなかったのでたまたま紹介してもらったのです。」と水越氏は話す。

代表の長男であり現在は取締役の水越大輔氏は、この事業を引き継いでから1年くらいの間、建設会社の方々とは関わりを持たなかったが、ある日、父から「山に行って現状を見てきて欲しい」と深刻な表情で頼まれ、株式会社炭義.が所在する、山梨県都留市に向かった。

山が荒れている現状

水越氏は荒れ果てた山の状況を目の当たりにし、愕然とした。

そもそもなぜ山がこんなにも荒れているのだろうか。その理由には、日本の山の歴史が大きくかかわっている。

以前から「はげ山」と言われる山の存在や、戦時利用の為に伐採された森林などを、終戦後の高度経済成長などで大量の建築資材の需要を見込んで、政府は戦後に拡大造林政策を打ち出し、杉や桧等の針葉樹を大量に植樹をした。

時が過ぎ、人工林は増えていった。本来であれば必要に応じて枝を払ったり間伐をしたりしなければいけないが、林業従事者の数が年々減っていたこともあり、長い間手入れをされていない人工林が次第に増え、木と木の隙間がなくなり日光を遮断していった。

暗くなった林の中では特定の植物が枯れることで病気が蔓延し、山の保水力が弱くなり雨や台風が発生すると土砂災害を起こす危険性を伴った。

また、拡大造林政策が施行された後に貿易が自由化されたことで、アメリカやカナダ、ロシア、その他の国からも大量の木材の輸入が始まった。これにより、日本産の木材よりも価格が安い外国産の木材が使われることが増え、日本産の木材の活用は現在減少傾向にある。

日本産の木材の活用が減ると、利益が減り、林業従事者も、伐られる木も減っていく。

そんな現状を誰が変えられるのか。答えは明白だった。

「環境循環サイクル」と「キコリの炭」

まずは一番大きな取り組みとして、問題を抱える森林や竹藪に対して適度な間伐と手入れを実施することで、山の保水能力を向上させ、山の整備に努めた。

次に、森林資源の新しい使い方を考えた。価値の落ちてしまった山にどのようにして付加価値をつけるのか。今まで通り、ただ切った木を売ればいいわけではない。

たどり着いた答えが、”特殊な独自の焼き方”をして高品質な炭を作ること。これが「キコリの炭」ブランドの誕生となった。

”キコリの炭”は燃やすための炭ではなく、品質を生かして人々の居住空間に役立つ商品としてや、「食べる炭」に特化した健康促進に役立つ製品である。これはまさに付加価値と言えるのではないだろうか。

特に「食べる炭」については、取締役社長の鈴木氏が現代の人に多く見られる化学物質アレルギーや化学物質過敏症など、特別な治療法がないことに対して身近な問題として向き合い、老廃物を吸着し腸内環境を整える効果が期待できる「竹炭」に注目して開発を行い、商品化に至った。

「炭」を生活必需品へ!

しかし、「炭」は生活必需品として参入できるのだろうか?

現状では生活必需品とはいえないだろう。「食べる炭」の認知度も徐々に上がってきているとはいえ、まだまだ少数派であることは間違いない。

水越氏は「山の健康と体の健康は表裏一体」だと話し、これはSDGsと親和性が高い。

持続可能な林業を掲げ、本の出版や雑誌の掲載も行う中、番組の取材依頼を受ける機会も増えた。最近では、市内の小中学校での出前授業の依頼もある。

株式会社炭義.としての考え方は、「自然と共生するライフスタイルで身も心も豊かに」を作ることだ。

その目的は、炭が消費されることで山の整備に繋がり、それが農林水産業の活性化に繋がるからである。「山の価値を上げるためには、環境に関心を持って行動に移さなければならない」と強い決意を見せた。

今ある現状とどのように向き合い、どのように解決していくのか。

「キコリの炭」の商品開発と認知度を上げることで、「炭」が生活必需品となり、人も山も健康な世の中になることを願い、今後の株式会社炭義.の活躍に期待が広がる。

INFORMATION

株式会社 炭義.

身体の外と中、両面からの健康づくりを「キコリの炭」を通じてご提案します。
もっと健やかに、もっと美しく。
キコリの炭を通して、現代の環境やストレスに負けない身体づくりをお手伝いしていきます。
そして、「キコリの炭」を使う事が、森林整備を通じて環境を守る活動に繋がると考えています。
炭の力として、空気をきれいにする効果やリラックス効果への期待から、
最近では、炭を使った生活用品への人気も高まっています。
でも、炭義.がご提案するのは、さらにその先。
生活環境を整えることだけでなく、竹炭を食品として取り入れ体内環境を整えること。
いわば身体の外と中、両面からの健康づくりをご提案して参ります。

創立
2020/9(旧社名炭香 2007/9)
従業員数
11
ホームページ
https://sumi-yoshi.jp/
Writer:
GOOD JOB STORY 編集部

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