若手が支える「匠」のモノづくり!中規模企業の強みを活かして

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大阪府

日本の製造業トップ500社は、リーマンショック後に海外売上比率が急速に上昇し、その後も増加を続けている。欧米企業との競争において、日本企業は急速に追いついている形だ。一方で、過去25年間における日本の製造業全体の売上高は約400兆円で横ばいが続いている。

そんな中、株式会社オニザキはその厳しい市場環境においても堅実に成長を続けてきたものづくり企業だ。2022年には「匠」企業として「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、また「守口門真ものづくり元気企業」に認定されている。

同社は、ゴム製品の加工とトムソンの打ち抜き、小型電子機器や照明器具に関わる設計から、板金、切削、ダイカストなどの部品製作、そして組立・検品までを一貫して行い、ワンストップで生産可能だ。製品の大きさやロットに関係なく、顧客のニーズに応じて最適なソリューションを提案する姿勢は、多くの信頼を得ている。

本記事では、LED照明部課長小泉雄樹さんと鬼嵜社長の甥である鬼嵜謙さんに、オニザキの商品製造への思いをお伺いしました。

PROTAGONIST

鬼嵜謙さん/小泉雄樹さん

ゴム製品の製造と照明器具の組み立て事業をつなぐ

オニザキでは、ゴム製品の製造と照明器具の組み立てという2つの事業を展開している。ゴム製品と照明器具は一見異なる分野に見える。しかし、ゴム製品の多くが照明器具向けのパッキンに使われているなど、ゴム事業は照明事業の一部でもあり、両事業は互いに補完し合い、オニザキの事業全体を支えているのだ。

オニザキの鬼嵜社長は、かつて同業の会社で工場を管理していたが、11年前にほぼ同じ事業内容を引き継ぐ形でオニザキを設立。

「独立当初は以前から携わっていた事業が中心だったんですが、ゴムの分野では他業種への進出がしやすいこともあって、現在は照明以外の分野にも進出しています」(小泉さん)

独立後に、新しい顧客との付き合いが始まったことから、化粧品容器やインフラ関連、おもちゃのパーツなど、さまざまな業界へと進出している。

ゴム製品を扱っている会社は多いが、オニザキのように中規模で柔軟に対応できる企業は意外と少ない。業界を見渡すと、大規模で従業員が100名以上いる会社か、家族経営の小規模な会社が多く、中間規模の企業は少ないのが現状だ。オニザキは、その中間の規模感を活かし、小回りが利く上に、それなりの量を量産できるという独自の強みを持っている。

ゴムの原材料は安い材料を使えばコストを抑えられるがトラブルが増えることも。逆に高価な素材を使うと、お客さんの予算に合わないこともある。

「原料へのこだわりよりも、実用性と価格のバランスを重視しています。素材選びは用途に応じてある程度決まっているので、試作段階でいろいろな素材を試すことはあまりしません」(小泉さん)

最近では、インフラやおもちゃ業界からも声がかかるようになった。その多くはホームページを通じた問い合わせだそうだ。特に、コロナ禍以降、問い合わせが急増し、オニザキの存在がより広く認知されるようになった。こうした反応を受け、ゴム製品の加工が多くの需要に応えられる可能性を改めて感じているという。

「元々はゴムから始まったのですが、それが照明器具に使われるゴム製品につながりました。組み立てに関しても、人と技術と設備さえあれば対応できたのですぐに始めました。さらに『この部品も作ってくれないか』という他製品の依頼が増え、どんどん事業が広がっていったんです」(小泉さん)

このように取引先からの要望やつながりから、現在の照明器具製造事業が確立されたそうだ。新しい取引先は増え続け、今でもその流れが続いているという。

現在は、メーカーから光学部品(LEDや電源、レンズなど)を支給され、それに必要な外側の部品や塗装、メッキの表面処理をオニザキが担当している。これらの部品を協力会社と連携して製造し、最終的な組み立てを社内で行うワンストップの体制を整えているそうだ。

中国のパートナー企業とは長年にわたる信頼関係を構築

製品を作る際は、まず設計担当が3D図面を作成し、その図面に基づいて製造が進められる。使用するゴムの種類は多く、屋外用か屋内用か、あるいは赤ちゃんの肌に触れても問題ないか、薬品に耐えられるか、などで最適なものを選定しているそうだ。

試作段階では、まず試作用の金型を使って少量のサンプルを作成。検証を重ね合格したものを中国工場で量産する。ゴム製品は金型にゴム材料をセットし熱と圧力をかけて成形するが、試作品と異なり大きな金型では温度や圧力が均等にならないため製品の仕上がりにばらつきが生じることも。これを最小限に抑えるために、日本で最終的なチェックを行っている。毎年現地を訪れて視察を行い、製品に問題がないか確認すると共に、現地のパートナーと親睦を深めているそうだ。

ただの取引先というだけではない。長年の付き合いからお互いに少しずつ成長してきたことで、パートナー企業との強い絆を結んできたそうだ。この信頼関係が、オニザキ製品の品質にもしっかりと反映されていると言える。

若い人が活躍する製造業!ポイントはルールを作りすぎないこと]

オニザキでは、30代の社員の意見が経営層にしっかりと尊重されているという。経営層が若手の意見を大切にし、自由な雰囲気を作っていることで、社内のチャレンジ精神が育まれている。多少費用がかかっても、自分なりに見通しが説明できていれば、上から一蹴されることはない。これが、安心感となり自信となり、若い人たちの会社全体の成長を支えているという。

最近では、キャンプ好きの社員から、テントを張る際に使用するペグを保護するためのゴムカバーのアイデアが提案され採用されたそうだ。このカバーには夜間でも目立つように蓄光顔料が使用されており、市場に類似品がないことから、注目される可能性が高い。すでにAmazonで試験的に販売が開始されており、少しずつ売れ始めているという。

製造業界の高齢化が進んでいる中で、若い世代が多く集まり活躍していることはオニザキの強みだ。ルールを作りすぎないことで、若い人が意見を言いやすい環境を作れている。「逆にうちはちょっと距離が近すぎるんじゃない?」とお互いを見合って笑う姿に本当に良い雰囲気を感じる。

「仕事以外でもご飯に行ったり、趣味が合う者同士でプライベートで遊びに行くこともあります。アウトドア好きが何人かいて、一緒にキャンプに行ったこともありました。今回の商品開発も、キャンプ好きの若い社員からの意見が発端ですから、本当に風通しの良い職場だと思いますよ」(小泉さん)

トップである鬼嵜社長は「一見おとなしい印象だが重要なことははっきり言うタイプ」と社長の甥である鬼嵜さん。仕事に対して非常に熱心で、守りに入らず常に成長を追求しているのだとか。国内外での事業展開にも積極的に取り組んでいく姿勢だ。

今後は自社ブランドを確立し海外への展開を目指す

事業拡大に伴い、オニザキでは新しい社屋の建設が直近の課題となっている。現在の工場が手狭になってきたため、より広いスペースが必要になったとか。さらに、今後5年を目処に、BtoC分野への進出を目指し自社ブランドの確立に取り組む予定だ。

「現在取り組んでいる仕事は全てBtoBの企業間取引が主ですが、今後は自社ブランドを立ち上げて、BtoCの分野にも進出していきたいと考えています。その中でも特に海外市場というところですね」(小泉さん)

スタッフがアイデアを出して形になったというキャンプ用のペグを保護するゴムカバー。これを皮切りに一般市場での認知を広げていく計画だという。さらに、オニザキは日本国内から海外市場へ視野を広げていくつもりだ。国内市場の限界を突破し、グローバルに展開することでさらなる成長を目指している。

INFORMATION

株式会社オニザキ

株式会社オニザキは小型電子機器や照明器具などにまつわる設計からゴム・板金・切削・ダイカストなどの部品製作、そして組立・検品まで一貫して幅広く請け負っており、ワンストップでの生産体制を実現しています。製品の大きさやロットを問わず、お客様の製品分野や商材ごとに最適なソリューションを提案させていただきます。

創立
2013/7
従業員数
21
ホームページ
https://onizaki-lr.co.jp/
Writer:
GOOD JOB STORY 編集部

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