66年の歴史が創る次世代型モノづくり
積極的な技術革新と自由なアイデアの交流

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大阪府

南海モルディは大阪府堺市に本社を構え、2024年に創業66年を迎えた。
金型製造と材料販売の事業、主に2つを軸にしながら多岐にわたる「ものづくり商社」として昭和〜平成を駆け抜けた。長年の実績と経験を活かしながら現在は新製品の開発にも取り組み、技術革新に挑む。
先先代から受け継いだ理念を大切に守り、社員教育や社会貢献にも注力する3代目の代表取締役、福原千里さんにお話を伺った。


PROTAGONIST

福原千里代表取締役

創業の経緯、継承される企業理念

創業者は、福原千里氏の祖父である。

終戦後、とにかく何か商売をしたいという思いで広島から大阪へ1人で上京し、住み込みで丁稚奉公(でっちぼうこう)をしながら、不要になった鋼材を仕入れて売るというブローカー的なことを行なっていたという。その中で、金型の資材を売るようになり、小さな仕事を積み上げながら会社の立ち上げに至った。

「創業当初、祖父は鋼のイロハと言われる一般的な構造物に使われるSS材(一般構造用圧延鋼)やSC材(機械構造用炭素鋼)など、構造用鋼を広く扱っていました。その後、父の代になり、生き残るために何かに特化しなければいけないという思いと、自動車メーカーと深く関わりを持てる会社にしたいという夢があったことから、車やトラック関係の部品としてよく使われる熱感鍛造品の金型を扱う事業にシフトしていったようです」と説明した。

実際に、自動車関係の金型の製造販売に絞ったことで、多くの大手企業と関わりを持つようになった。

先代である父が当時、取引をしていた金型製造会社の業績が悪化し、いよいよ倒産するかもしれないという時、先代はちょっとした交渉を行った。「業績が悪化しても、最後まで御社に資材供給を続けますので、もし倒産することがあれば、御社のリーダークラスの技術者をうちで受け入れさせていただけませんか」。

しばらくして取引先が倒産し、優秀な技術者が同社にたくさん入ってきた。そして、大手メーカーと同じレベルの品質の金型製造を次々に展開することができた。「当時の技術者さんたちは、まだうちで頑張ってくれています。クオリティの高い品質にするまでの製造工程をしっかり教えてくださったお陰で、この事業が急速に伸びていったのだと感謝しています」 福原千里氏は話す。

優秀な技術者がいなければ、早期の製造部門の仲間入りは難しかったかもしれない。

同社では、金型の製造が5割、金型の資材販売が4割、残りの1割は金型にまつわるメンテナンス事業を行なっている。そもそも金型とは、車などの部品を製造する際に使う金属製の型のことで、製造業には欠かせない重要なものである。

そして、会社の根幹部分の考え方や価値観として、誰のために存在する会社で、何をして社会貢献するのか?など、代表をはじめ社員一人ひとりにも引き継がれているところに、同社の調和性の高さが垣間見える。

10年先の仕事を見据えて

同社は、社内でのコミュニケーションを大事にしており、顧客からの新しい仕事の提案を受けた場合でも、様子を見ながら一度やってみよう、という小回りの利くやり方で挑戦する姿勢をとっている。

「営業部に入ってきた自社でできない依頼でも、何とかしてやるというのが社風です。逆に自社製品があるからといってその製品を売るのはマストではありません。あえて他社さんに繋げて、他社さんの製品を売っても構わないのです」と、福原氏は話す。

今後は、法人向けに留まらず個人向けの商材の開発もイメージしている。

それについて同社社員の大塚氏は、「僕ら職人は、お皿作りましょう、LEDライトを作りましょう、こういうデザインにしよう、などアイディアがたくさん出てきます。それを考えて組み立てるところに面白さを感じています。そうすると自分たちの技術にも磨きがかかり、相乗効果となる。金型は、最終製品を作る道具なので、もちろんそこには強い責任感を持っているんです。BtoCで何か一つでも世に出て、よく知られるものがもし作ることができたら、ものづくり企業として大成功です」と話した。

過去の金型の加工技術を元に応用展開し、元々培ってきたテクノロジーを生かしながら、一般商品の開発に技術革新することに意気込みを見せる。

金型は多岐に渡る種類があり、社会に役立つ商材を生み出すことができるかは、今後の進化が問われるだろう。

「もちろん、これまでと変わらずやり続けようという気持ちです。できる限り攻略できる範囲を広げ、とにかく実績を積み、しっかりと体制を整えていこうと考えています。当社は事業所ごとに特色があり、社員によって得意不得意もあるので、そこが会社の特徴でしたが、今後は全体で一丸となることを目指していきます」福原氏は述べた。

同社は、社内で新しい技術開発を実施するため、2021年に青色レーザーという、種類の元素への吸収率が良い機器を導入した。自動車関連以外に、建築や医療の現場で活用できるような銅合金の部品や溶接工器具など、新しい技術を生み出す取り組みをしている。

また、新人の育成については、会社の理念に基づいた考えを伝えられるように努め、技術職はもちろん営業職においても工場実習を行っている。

会社全体の売上の8割を占めているのは自動車関係の金型の製造だ。しかし、今後は激動の時代を迎える。10年先の仕事量を維持するために、顧客獲得のために営業範囲を柔軟に広げていくことと、オリジナル技術、レーザー技術、など技術面を向上させ、付加価値としてのメンテナンス技術を高めることで、既存客のフォローを施す方針だ。

顧客との信頼関係を構築する

近年、SDGsの観点から循環型経済の重要性が高まり、リデュースやリサイクルなど、地球に優しい取り組みを行うことが求められている。

そして、同社でも事業の一環として2つの施策を行っている。

1つ目は、使用済みの金型を鉄のスクラップとして排出するのではなく、そこからコバルトやニッケルのような合金や希少元素を活かせるよう、金型の材料として再生させる事業活動をしている。

2つ目は、顧客で不要になった廃棄金型に肉盛溶接することで金型を再生し、何回でも使えるようにすることで、CO2排出量自体を減らしていく方針だ。

「新入社員へのメッセージとしていつもお話していますが、生活に必要なものには、必ずと言ってよいほどそれを作るための金型が存在しています。金型を作ること自体は、どこかで作ろうと思えば作れます。

ただ、流通メーカーや企業がどういう企画のサービスで金型を届けるか?品質保証はどこまでできているのか?営業の仕方や納期の対応、不具合が出たときの対策、スクラップの処分や再利用についてなど、そういうところを顧客から一番求められます。

物自体は珍しいわけではありませんが、誠実な対応をして信頼関係を積み上げることが何よりも大切で、時間がかかる部分ですが、他社に簡単に追随できないところだと考えています」(福原千里代表)

INFORMATION

南海モルディ株式会社

私たちは、金型材料を提供する商社機能だけでなく、
金型・冶工具を加工して創るメーカー機能も有しているメーカー商社です。​

こうした事業を展開する企業として、社会のサステナビリティに貢献することは大切です。

特に、鋼材や金型に使用されている特殊鋼という貴重な資源を有効活用するため、
「ゼロエミッション」の取り組みに注力しています。

材料加工時に発生する切り粉を固めて成形し、また使用済み金型を顧客の工場から
定期的に回収・選別して、特殊鋼メーカーに原料として提供しています。

創立
1958/12
従業員数
170
ホームページ
https://www.nankaikozai.co.jp/
Writer:
GOOD JOB STORY 編集部

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