短納期と小ロット生産
スポーツアパレルOEMの強者
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大阪府
株式会社サンビはスポーツアパレルの受託生産を行う企業である。アシックス、ミズノ、デサントなどの大手スポーツメーカーへのOEM(他社ブランドの製品を製造すること)が売り上げの約80%を占めている。顧客の要望に応えられる短納期・小ロット生産を可能にする独自の生産体制を持つことが特徴であり強みだ。
本記事では、株式会社サンビの代表取締役である田上晴久氏と長男である田上雄也氏に話を伺った。

PROTAGONIST
田上晴久代表取締役
短納期、小ロット生産がサンビの強み

サンビは大手スポーツメーカーから受託生産を行っており、仕様書に基づいて製品を作成するほか、メーカー側に企画を提案することもあるという。リサイクル生地や環境にやさしい撥水剤を使用するなど、SDGsにも配慮した生産を行い、環境保護にも力を入れている。また、中国に独資工場が2つあり、短納期、小ロットで生産できることがサンビの強みだ。
「OEMの場合、通常は発注から生地を染め、2、3ヶ月経ってやっと縫製という流れなんです。私たちは、生地をある程度この素材のこの色と在庫を持っているので、短納期でものづくりができます。スポーツの場合はチーム対応の注文が多いのですが、そういうときには、L寸が在庫切れを起こすと他のM寸もS寸も売れなくなる。そんなときにL寸だけ短納期で作ることができれば、メーカーの機会損失にならないんです。そんなスポーツ業界の特殊な事情にもうまくマッチしているんですよね。日本に近い中国に独資工場があるため短納期でフォローできるという体制が、お客様に必要な企業と見てもらえる部分ではないかと思います」(田上社長)
中国独資工場の設立のきっかけ

中国に独資工場を作ったきっかけは、2002年に中国がWTO(世界貿易機関)に加入するというニュースが流れたときだそう。中国がWTOに加入して、アメリカやヨーロッパからオーダーが入ると、自分たちの製品を作るキャパがなくなる可能性があると考えたとか。独資工場にしたことで、安定的に短納期・小ロット生産が可能となり、大手メーカーのニーズに応えられる体制が整った。大手の求めるクオリティを叶えるため、品質管理も徹底している。
「サンビは、企業規模のわりに生産技術の部署の人数が多いんです。大手は品質に非常に厳しいですから、それに対応して生産管理に携わる人の割合をかなり増やしています。私たちの工場はISO9001の認証を受けていて、年に1度のチェックを毎年クリアしています」(田上社長)
ISO 9001は、国際標準化機構(ISO)が定める品質マネジメントシステムに関する国際規格である。ISO 9001に認証されているということは、QCD(Q(quality・品質)C(cost・価格)D(delivery・納期))のバランスを重視した上で顧客の対応を行っている証となる。
はじまりは高周波加工のビニール製品

株式会社サンビの創業は1952年。現社長である田上晴久氏の父親である田上三郎氏が脱サラして始めたのがビニールの高周波加工だ。当時は日本であまりない技術だったという。高周波加工とは、テーブルクロスやビニールの風呂敷などのビニール製品を加工する技術。関西ではカネボウに次ぐ2例目の導入だという。先代が学生の頃にアメリカの文献を読んで興味を持ち、メーカーを探して導入に至った。後に、世界初の高周波加工のポンチョが製品化された。
「父は登山が好きだったんですよ。当時はナイロンのポンチョを使用していたんですが、とにかく重い。ビニールなら軽く、そして安いポンチョが作れるのでは?と独自開発したのがビニール製のポンチョです。それをスポーツ小売店に販売したことが今のサンビの基礎です。他にもスキー用のオーバーパンツを作ったり、三菱グループと独資の生地を開発したりと新しい技術を開発することで会社の基盤を作ってきました」(田上社長)
しかし、田上社長が入社した1988年頃には、すでにスポーツメーカーのOEM生産が売り上げの多くを占めていたそうだ。1990年頃からビニール製品に対する風当たりが強くなってきたため、ビニール製品事業も次第に縮小していったという。田上社長が社長に就任した1995年頃からOEM商品の中国生産がスタート。その頃にはウィンドブレーカーやスキーウェアなど一部オリジナル商品もあったが、徐々にその割合は減り、現在は100%OEM生産になっている。
「会社としての大きな転機は、2003年に中国浙江省に100%独資工場を作ったことでしょうか。その後、2012年には中国江蘇省の第2工場を作り、2013年にはミャンマーの工場に協力してもらえることになりました。それ以来、売り上げはどんどん伸びている状況です」(田上社長)
その後、大手スポーツメーカーとどのように知り合い、取引できるようになったかも気になる。
「ミズノさんはたまたま私が入社する前からお付き合いがあったんですよ。アシックスさん、デサントさん、ミキハウスさんは、普通に『こんな商品ができます。何か注文ください!』と新規で訪問しましたね。有難いことに採用していただいてから、徐々に信頼感を積み上げていったものです」(田上社長)
現地中国人との強固な絆が成功の秘訣

田上社長はサンビ入社までは鉄鋼業界に勤めていた。当初は、父親からも「会社は継がなくてもいい」といわれていたそうだ。
「長男なのでいずれ家業を継ぐつもりで、部活でリーダーシップをとるようにしたりゴルフを始めたりしていたんですけどね。『継がなくていい』といわれたので、大学を卒業後に就職したんです。2年半経った頃、突然「やはり継いでくれ」といわれたんですよ。でも、鉄鋼会社から中小企業のスポーツアパレルでは、まったく畑が違うでしょう?だから、父に少し修行させてほしいと頼んで、他社のスポーツ用品の小売店に勤務したんです。そこで1年3ヶ月ほど修行した後に、サンビに入社しました」(田上社長)
サンビに入社してからは、人との付き合い方に難しさを感じていたそう。信頼していた社員が予想外のタイミングで退職することもあった。人を大切にし、いかに全力で働いてもらうかが長年の課題だと感じているそうだ。さらに、中国工場を作るときにも多くの苦労があった。
「文化の違いもありましたし、潜在的な反日感情に触れることもありました。また、政府とのトラブルもありましたね。中国工場が閉鎖になったら、私の会社も潰れるかも、と覚悟した時期もありました。その時は、なんとか罰金だけで済みました。中国ビジネスが成功しているのも、100%信用できる中国人幹部の存在が大きいと思っています。政府のトラブルで奔走してくれたのもその中国人幹部です。その中国人幹部は中国法人のTOPとなって、27年間の強固な信頼関係があります。日本人駐在員は1人もいないんですよ。珍しいケースだと思います」(田上社長)
第3の拠点とオリジナル商品の開発を視野に

今後の展開としては、中国、ミャンマーだけでなく、第3の拠点を考えているという。
「自分のいるうちにもう1拠点くらいあってもいいかなと思っています。もしかしたら、私と次の社長との合作かもしれません。今後は社員を巻き込んで大きな渦となって一体感を持ち、仕事をすることが大切かなと思います。会社を経営している限りは良い企業でありたいし、社員さんにもこの企業に勤めて良かったと思ってもらいたいですね」
田上社長の長男である雄也氏は次のように述べる。
「創業者である祖父がサンビを設立し、父が中国工場を作りました。私は第3国、特に東南アジアに拠点を構えることを目指しています。そして、モノづくりをしている以上、やはりオリジナル商品を作りたいですね。自分たちで企画したものが世に出ることは社員のモチベーションにもなります。先代が作りあげたものを引き継いで大事にしつつ、自分だからできることを進めたいと思っています」(雄也さん)
田上社長も雄也さんも「人」を大事にしていることが印象的だ。
INFORMATION

株式会社サンビ
スポーツアパレル製品の OEM・ODM
企画・設計・生産をお任せ下さい。
デザイン・生地・材料・プリント
刺繍加工等、生産スキームも提案します。
- 創立
- 1953/10/23
- 従業員数
- 46
- ホームページ
- https://www.sanvi.jp/
- Writer:
- GOOD JOB STORY 編集部